はじめに:クラウドストレージの容量不足と「使っていないノートPC」

チノーくん、最近イラストや音楽ファイル(FLAC音源・DTM)、Blenderのデータが増えてきて、パソコンのストレージが圧迫されてきたんです。
でも、SSDの値段が高騰していて、買い足して増設するのも躊躇してしまって……。万が一PCが突然壊れたらと思うと夜も眠れません。

大切なデータのバックアップは必須ですね。今はOneDriveやGoogleドライブなどのクラウドストレージもありますが、無料枠は数GB〜数十GBですし、大容量プランは毎月固定費(サブスク代)がかかってしまいますからね。

そうなんです!月額費用を払い続けるのも嫌ですし、外付けHDDを毎回手動で繋ぐのも面倒で……。あ、そういえば買い替えで使わなくなった「お古のノートPC」が押し入れで眠っていたのを思い出しました!

それは最高の素材ですね!そのお古のノートPCに大容量SSDを載せてローカルネットワーク(LAN)上に置いておけば、月額費用ゼロでテラバイト級の専用バックアップサーバーに生まれ変わらせることができますよ。
なぜ「お古のPC + 大容量SSD」が最強のバックアップなのか?

「お古のPCをバックアップ機にする」のって、クラウドや外付けHDDと比べて具体的にどんなメリットがあるんですか?

大きなメリットは以下の3つだよ。
| バックアップ方法 | メリット | デメリット |
|---|---|---|
| クラウドストレージ | 自動同期で手軽、災害に強い | 毎月固定費(サブスク)が発生。大容量(1TB〜)は高額。 |
| 外付けHDD / SSD | 1回買えば追加費用なし | 毎回ケーブルを挿して手動でコピーするのが面倒。 |
| お古のPC(LAN接続) | 月額ゼロ。大容量SSDで爆速。バッチ1回で自動同期。 | 最初だけネットワークや共有設定が必要。 |

自宅のWi-Fi(LAN)経由でデータを送れるから、ケーブルを抜き差しする必要も一切ないし、必要な時だけノートPCを起動させておいて普段使っているメインのPCでバッチファイルをダブルクリックするだけで背景で高速にバックアップが終わるんだ。
【事前準備】バックアップ先(ノートPC)の設定

なるほど!ぜひ設定してみたいです。ノートPC側(バックアップ保存先)はどんな準備をすればいいですか?

ノートPC側で行う設定は、大きく分けて4ステップだよ。
ステップ1:ネットワーク種別の変更(メイン・バックアップ先両方)
1.Windowsの「設定」を開く。
2.「ネットワークとインターネット」>「Wi-Fi」から、接続中の「Wi-Fiプロパティ」を開く。
3.ネットワークプロファイルの種類を「パブリック」から「プライベートネットワーク」に変更する(共有機能を有効化するため)。
ステップ2:IPアドレスの固定(バックアップ先ノートPC)

メインPCから常に同じ場所として接続できるよう、ノートPCのIPアドレスを固定します。
ルーターを再起動してもIPアドレスが変わらなくなるため、バッチファイルを書き換える手間がなくなります。
1.「Wi-Fiプロパティ」を下にスクロールし、IP割り当ての「編集」をクリック。「自動 (DHCP)」から「手動」に変更。
2.「IPv4」を「オン」にする。
3.以下の項目を入力して保存する。
| ラベル | 設定の意味 |
|---|---|
| IPアドレス | 192.168.(メーカーによって様々).(1~255) 末尾の数字(第4オクセット)は大きい数字に設定しておくと、ルーターの自動割当機能と衝突するリスクをほぼゼロにできる |
| サブネットマスク | 255.255.255.0 (ネットワークグループの識別番号:一般家庭、小規模オフィスは基本これ) |
| ゲートウェイ | 192.168.xx.1 (ルーター自身のIPアドレス:大体のメーカーは1) |
| 優先DNS | 192.168.xx.1 (ルーター自身のIPアドレス:大体のメーカーは1) |
ステップ3:専用のローカルユーザーを作成する(コマンド利用)

次はユーザー作成ですね。Windowsの「設定」>「アカウント」>「他のユーザー」から追加すればいいですか?

ちょっと待ってください!普通に設定画面から作ろうとすると「Microsoftアカウント(メールアドレス)を入力してください」と強制されて面倒なんですよ。
コマンドを使えば、裏道で一瞬で作成できます!コマンドプロンプト(管理者)を開いて、以下のコマンドを実行してください。
net user ユーザー名 パスワード /add

今回は、ローカルアカウント名を backup_account 、パスワードを 1234 にしたいので、こう入力しますね!
ステップ4:親フォルダーの作成と共有アクセス権の設定
1.親フォルダーの作成: ノートPCのCドライブ直下に親フォルダー(例:PC_Backup)を作成します。このフォルダーが全バックアップデータの保管庫になります。
2.作成した PC_Backup フォルダーを右クリックして「プロパティ」を選択。
3.「共有」タブを選択し、「詳細な共有」をクリック。
4.「このフォルダーを共有する」にチェックを入れ、「アクセス許可」をクリック。
5.「Everyone」を選択して「削除」し、「追加」をクリック。
6.「選択するオブジェクト名を入力してください」の欄に、先ほど作成したユーザー名(backup_account)を入力して「OK」。
7.「フルコントロール」などのアクセス許可にチェックを入れ、「適用」>「OK」でウィンドウを閉じます。
目からウロコ:「個別のフォルダーを共有する必要」は一切なし!

あ!ちょっと待ってくださいチノーくん!
最初に思ったんですが、「Music」や「Photos」、「イラスト」みたいな個別のフォルダーごとに、いちいち右クリックして「共有設定」を作る必要はないってことですよね……?

まさにその通り!そこに気づいたのは素晴らしいですね!
❌ 面倒な方法:
Musicを共有設定、Photosを共有設定、イラストを共有設定……と、フォルダーごとに個別共有を作る。
⭕ 正しい方法:
保存先のルートになる PC_Backup という大きな箱(親フォルダー)を1箇所だけ共有設定しておく。

そうですよね!メインPCからバッチファイル(robocopy)を実行すれば、PC_Backup の中に自動で「Music」や「イラスト」というサブフォルダーを作成して放り込んでくれますもんね。
ノートPC側は1箇所だけ設定すればいいので管理がすごく楽です!
【実行手順】メインPC側の自動バックアップ用バッチファイル

バックアップ元(メインPC)側では、以下の内容をメモ帳に貼り付けて backup.bat という名前で保存するだけでOKだよ。
@echo off
:: ======================================================
:: 1. 接続先(固定IPのノートPC/NAS)と認証情報
:: ======================================================
set "NAS_IP=192.168.xx.xx"
set "DEST=\\%NAS_IP%\バックアップ先親フォルダー"
set "NAS_USER=%NAS_IP%\ローカルアカウント名"
set "NAS_PASS=パスワード!"
:: ======================================================
:: 2. 日付・ログファイルの出力先指定
:: ======================================================
set "LOGDIR=C:\MyBackup\Logs"
if not exist "%LOGDIR%" mkdir "%LOGDIR%"
set YMD=%date:~0,4%%date:~5,2%%date:~8,2%
set "LOGFILE=%LOGDIR%\backup_%YMD%.log"
echo ==============================
echo PC Backup Started
echo ==============================
:: 接続チェック&認証
ping -n 1 %NAS_IP% >nul 2>&1
if errorlevel 1 (
echo Error: Cannot connect to %NAS_IP%
pause
exit /b 1
)
:: 既存の接続を削除して再認証
net use "%DEST%" /delete /y >nul 2>&1
net use "%DEST%" "%NAS_PASS%" /user:"%NAS_USER%"
if errorlevel 1 (
echo Error: Network authentication failed
pause
exit /b 1
)
:: ======================================================
:: 3. バックアップを取りたいソースパス(元)と宛先(先)を指定
:: ======================================================
set "ROBO_OPT=/E /XO /R:2 /W:2 /MT:8 /LOG+:"%LOGFILE%""
:: 【標準フォルダの指定例】
if exist "%USERPROFILE%\Music" robocopy "%USERPROFILE%\Music" "%DEST%\Music" %ROBO_OPT%
if exist "%USERPROFILE%\Desktop\2" robocopy "%USERPROFILE%\Desktop\2" "%DEST%\2" %ROBO_OPT%
:: 【独自フォルダの指定例】
if exist "C:\MyFolder\Photos" robocopy "C:\MyFolder\Photos" "%DEST%\Photos" %ROBO_OPT%
if exist "C:\MyFolder\Projects" robocopy "C:\MyFolder\Projects" "%DEST%\Projects" %ROBO_OPT%
echo.
echo ==============================
echo Backup Complete (Log: %LOGFILE%)
echo ==============================
pauseバッチスクリプトの書き換え・カスタマイズ方法

チノーくん、このコードのどこを自分の環境に合わせて書き換えればいいですか?

順番に説明するね!
接続情報(6〜9行目):
NAS_IP: ステップ2で固定したノートPCのIPアドレスDEST: 親フォルダー名(\\192.168.xx.xx\PC_Backup)NAS_USER: 作成したアカウント名(192.168.xx.xx\backup_account)NAS_PASS: 設定したパスワード(例:1234)

私の場合だと、こんな感じに設定ですね!
set "NAS_IP=192.168.xx.xx"
set "DEST=\\%NAS_IP%\PC_Backup"
set "NAS_USER=%NAS_IP%\backup_account"
set "NAS_PASS=1234"ログ出力先(14行目):
ログファイルを保存したいフォルダパスを指定します。前崎さんは C:\前崎江モール\バックアップ関連ファイル に変更ですね。
set "LOGDIR=C:\前崎江モール\バックアップ関連ファイル"コピー元の指定(39行目〜):
if exist "コピー元パス" robocopy "コピー元パス" "%DEST%\保存先フォルダ名" %ROBO_OPT% の形で、守りたいフォルダを並べるだけです!
if exist "%USERPROFILE%\Music" robocopy "%USERPROFILE%\Music" "%DEST%\Music" %ROBO_OPT%
if exist "%USERPROFILE%\Desktop\1" robocopy "%USERPROFILE%\Desktop\1" "%DEST%\1" %ROBO_OPT%
if exist "C:\前崎江モール\Photos" robocopy "C:\前崎江モール\Photos" "%DEST%\Photos" %ROBO_OPT%
if exist "C:\前崎江モール\Blender" robocopy "C:\前崎江モール\Blender" "%DEST%\Blender" %ROBO_OPT%
if exist "C:\前崎江モール\DTM作曲" robocopy "C:\前崎江モール\DTM作曲" "%DEST%\DTM作曲" %ROBO_OPT%
if exist "C:\前崎江モール\foobar2000_Presets" robocopy "C:\前崎江モール\foobar2000_Presets" "%DEST%\foobar2000_Presets" %ROBO_OPT%
if exist "C:\前崎江モール\イラスト" robocopy "C:\前崎江モール\イラスト" "%DEST%\イラスト" %ROBO_OPT%
if exist "C:\前崎江モール\バックアップ関連ファイル" robocopy "C:\前崎江モール\バックアップ関連ファイル" "%DEST%\バックアップ関連ファイル" %ROBO_OPT%
if exist "C:\前崎江モール\ブログ用写真" robocopy "C:\前崎江モール\ブログ用写真" "%DEST%\ブログ用写真" %ROBO_OPT%
if exist "C:\前崎江モール\perspective-grid-maker" robocopy "C:\前崎江モール\perspective-grid-maker" "%DEST%\perspective-grid-maker" %ROBO_OPT%
バッチスクリプトの処理内容とポイント解説

このバッチファイル、具体的にどういう仕組みで動いているんですか?

ポイントは以下の3つだよ。
安全な自動ログイン(net use):
誰でもアクセスできる「Everyone共有」ではなく、専用アカウント(backup_account)を使ってネットワークドライブへ安全に一時接続・認証しているよ。
日付入りログの自動作成(backup_YYYYMMDD.log):
実行した日付(例:backup_20260930.log)でログファイルが保存されるため、「過去にいつバックアップを取ったか」「コピーでエラーが出なかったか」を後から見返せるんだ。
高速&差分コピー(robocopy のオプション):
/E: 空のサブフォルダも含めてまるごとコピー/XO: 更新されていない古いファイルはスキップ(差分コピー)するから2回目以降が爆速!/MT:8: 8スレッドでマルチスレッド高速転送

差分だけをコピーしてくれるのは嬉しいですね!毎回何万枚もの画像や音楽ファイルを一からコピーし直す必要がないので、数秒〜数分で終わっちゃいます。
まとめ

押入れで眠っていたお古のノートPCが、月額0円で爆速な「最強バックアップサーバー」に生まれ変わりました!バッチファイルをダブルクリックするだけで全自動でバックアップしてくれるので、面倒くさがりな私でも続けられそうです。

これでメインPCのSSDが明日突然壊れたとしても、大事なイラストや曲のデータは守られますね。

よーし!さっそくバッチファイルをダブルクリックして実行してみます!
……あれ?チノーくん、「Error: Cannot connect to 192.168.11.100」って画面に出て止まっちゃうんですが……。

前崎さん……バックアップ先のノートPC、電源タップのスイッチが切れていて起動していませんよ。

あっ……


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