はじめに:サイトHOMEの「ぐるぐる回転する星空」の正体は?

チノーくん、このサイトのHOME画面で出ている、白い光の線がぐるぐる回転している画像ってなんですか?
夜に星空観察をしてもあんな景色見たことがないんですが……。もしかしてAIで生成したイラストだったりしますか?


いえ、AI生成画像ではありませんよ。あれは「スタートレイル(Star Trails)」といって、星の軌跡を描いた写真です。
地球の自転によって夜空の星の位置が移動して見えるため、インターバル撮影で大量撮影した連続写真を1枚に合成(比較明合成)して作成します。
……というか前崎さん、ご自身のアイコンにもスタートレイル写真を使っているのに、本当に仕組みを知らなかったんですか?

うっ……!自分のアイコン画像を用意できていなくて仮で設定していたのがバレましたね……。まあそこは導入のノリということで!
それでチノーくん、あの幻想的なぐるぐる軌跡はどうやって撮るのか教えてください!
方角で形が変わる!スタートレイル(星の軌跡)の仕組み

勢いで誤魔化しましたね(笑)。
前崎さんはあの軌跡を「ぐるぐる」と表現していますが、実はカメラを向ける方角によって軌跡の描き方がまったく異なるのをご存知ですか?

えっ、そうなんですか? スタートレイルと言ったら全部円を描くイメージでした……。

北の空を撮影すると、北極星を中心に美しい同心円を描きます。これは地球が北極星の方向(自転軸)を軸に1時間で約15度、西から東へ自転しているためです。地上の私たちからは星が反時計回りに回転しているように見えます。
北極星の高さ = 自分の緯度に見えるため、この角度内に存在する星は地平線の上で回り続けます。
| 方角 (北半球) | 軌跡の描き方 |
|---|---|
| 北天(北極星の方向) | 北極星を中心に綺麗な円を描く(反時計回り) |
| 東天 | 地平線から南の空へ向かって斜め上に昇る |
| 西天 | 南の空から地平線へ向かって斜め下に沈む |
| 南天(南の空) | 地平線に沿うような大きな弧(横に流れる曲線)を描く |

南の空は円じゃなくて大きな弧になるんですね!
日本付近だと南天の極(南側の回転軸)が地平線の下に隠れてしまうから、回転の中心が見えず弧状に流れる……なるほど、地球の自転がそのまま写真になるわけですね!
撮影計画を立てよう!星空観察におすすめのアプリ・WEBツール4選

スタートレイル撮影は、カメラを三脚に固定して15分〜1時間以上連続でシャッターを切り続けます。そのため「雲がないか」「月明かりがないか(新月期)」「光害(街明かり)が強くないか」を事前確認することが成功の鍵です。

今回は日の入りから十分に時間が経ち、月明かりの影響がない新月付近にインターバル撮影を行いました。事前チェックに使ったおすすめのツールをまとめておきます!
Starscape Guide(総合星空指数)
星空指数・雲量・月明かりから「星が見えやすい日時」を総合評価してくれるツール。現地での星図(どの方向にどんな星座があるか)も併せて確認できます。


Windy.com( 天気・雨雲レーダーアプリ)
下層雲・中層雲・上層雲の雲被覆率(%)をグラフィカルに確認できます。欧州中期予報センター(ECMWF)や気象庁(MSM)など複数の予報モデルを比較できるのが強みです。


SCW(詳細雲予報)
天体観測ファン御用達の超詳細な雲予報サイト。詳細モデルで39時間先まで1時間刻みの雲量がわかります。1日4回(17:23、20:23、23:23、2:23頃)のデータ更新があるので、更新後にチェックをしましょう。


Light Pollution Map(光害マップ)
夜空の明るさ(光害)を地図上で確認できるツール。街明かりの影響は山を越えた数10km先からでも届くため、撮影したい方角の明るさを確認するのに必須です。
「光害」は「ひかりがい」と読みます。照明の設置方法や配光が不適切で、景観や周辺環境への配慮が不十分なために起こるさまざまな影響をいいます。
(出典: 光害について環境省)

今回の撮影機材とカメラ設定(Sony α7C II + 14mm F1.8 GM)

今回の撮影条件とカメラパラメータを共有しておきますね。
| 設定項目 | 設定値・名称 | 解説・ポイント |
|---|---|---|
| カメラ本体 | Sony α7C II | フルサイズミラーレス一眼 |
| レンズ | FE 14mm F1.8 GM | 超広角単焦点レンズ |
| 撮影モード | マニュアル(M) | 露出を全コマで固定するため必須 |
| ファイル形式 | RAW+IPEG | 編集用にRAW、確認用にJPEG |
| 長時間ノイズリダクション ・・・熱に関連したノイズや固定パターンのノイズ、明るい点状のノイズ(ホットピクセルなど)を軽減する機能 | 切 | ONにすると撮影後に同時間の処理が挟まりインターバルがズレるため絶対「切」 |
| 高感度ノイズリダクション ・・・ISO感度を高くしたときに目立つ、ザラザラした輝度ノイズや色ノイズを軽減する機能。 | 切 | 後処理で調整するためOFF |
| 手ブレ補正 | 切 | 三脚固定時の誤作動を防ぐためOFF |
| 絞り(F値) | 2.0(開放から1段絞る) | 解像感を出すため開放(F1.8)から1段絞る |
| シャッタースピード(露出時間) | 30 秒 | 1枚あたりの露出時間 |
| ISO感度 | 100 | ノイズを抑え、星の色味を綺麗に残す |
| ホワイトバランス | 4000 K | 夜空が綺麗な青み(紺色)になるよう固定 |
| 撮影枚数 | 120 枚 | 30秒 × 120枚 = 連続1時間 |
| インターバル開始時間 | 1秒 | カメラのシャッターを押してから開始までの時間 |
| シャッターモード | 電子 | ブレや動作音が出ないように電子シャッターを使用 |
| FINDER/MONITOR | モニター優先 | ファインダーを除くことはないため |
| モニターの明るさ | -2 | 目を暗闇にならすため暗くする |
GIMP v3.x用プラグイン「startrail3」の導入

撮影した120枚の写真を1枚に合成します!Photoshopなどの有料ソフトがなくても、無料の画像編集ソフトGIMP(v3.x)と専用Pythonプラグインstartrail3を使えば一瞬で合成できます!
GIMP 3.x をダウンロードしてインストール
【Gimp】
Adobeのphotoshopが有名ですが、このソフトも似たようなことができます。
GIMP公式ページから最新のGIMP v3.x(Python 3対応版)を以下のリンクからダウンロードしてインストールします。




プラグインフォルダの確認
GIMPを起動し、編集 > 設定 > フォルダ > プラグイン から、プラグインが読み込まれるパス(例: C:\Users\ユーザー名\AppData\Roaming\GIMP\3.2\plug-ins)を確認します。


startrail3 の配置
GitHubから startrail.py をダウンロードします。




plug-ins/ (GIMPのプラグイン用フォルダ)
└── startrail(★同名のフォルダーを新規作成)
└── startrail.py (ダウンロードしたスクリプト)
GIMPで合成を実行
GIMPを再起動し、メニューにファイル > 画像の生成 > Startrailが追加されていたら成功です。

この画面では、フォルダのパスを選択して実行します。「比較明合成(Lighten Only)」が自動処理され、1枚の綺麗な星の軌跡画像が出力されます。画面が立ち上がったら、合成オプションを設定していきましょう。

Light Flames Pathにパスを貼り付ける
現像済みの素材JPEG画像(120枚)が入っているフォルダパスを指定します。(例:C:\前崎江モール\Photos\2026\2026_1010_新月星空観察\05_Export(完成品)\編集合成前素材(必要に応じて使用)_1)。
Dark Night Flames Pathにパスを貼り付ける
チェックを外します。ダークフレームがある場合は use dark frame にチェックを入れ、パスを指定します。
Save intermediateとSave dark correcred
チェックを外します(途中の状態を保存する必要がないため)。
Live view display update
チェックを外します(リアルタイム描画は処理が非常に遅くなるため)。
Merge to a single layer
チェックを外します(1コマずつスタックするとメモリ消費が激しくなるため)。
Automatically remove skyglow
チェックを入れると、画像にぼかしをかけた版を差し引くことで光害(空のカブリ)を自動軽減してくれます。今回はチェックを外しておきます。
| 設定項目 | 初期値 | 意味 |
|---|---|---|
| Blur Radius | 150 px | カブリを抽出するためのぼかしの広さ |
| Subtraction Opacity | 45% | 光害成分を差し引く強さ |
Fade Trails Mode
軌跡に彗星のようなフェード効果を与えるモードです。
| フェードトレイルモード | 効果 |
|---|---|
| 0 | すべてのフレームの不透明度が100%(通常の均一な線) |
| 1 | 不透明度が 0% ➔ 100% へ徐々に変化(過去が薄く、最新が明るい) |
| 2 | 各フレームの不透明度が100%から0%に変化(過去が明るく、最新が薄い) |
| 3 | 各フレームの不透明度が0%から100%に変化し、再び0%に戻ります。 |

今回の目的は、「古い星の軌跡は薄く、時間が経つにつれて新しい軌跡が明るくなる」彗星のような余韻を作りたいので、Fade Trails Mode は「1」に設定します。
それでは、実行してみましょう。

なるべく、光害が少なそうな場所に行って北と東の方向にカメラを向けてみました。2つともいい感じのスタートレイルを作成することができました!


まとめ:光害がある場所でもスタートレイルなら綺麗に撮れる!

今回前崎さんが撮影した地点を Light Pollution Map で確認すると、ボートル・スケール(The Bortle Scale:夜空の明るさ指標)は 「Class 5(郊外の夜空)」 レベルでしたね。

1枚撮りだと街明かり(光害)の影響で星があまり見えない場所でも、スタートレイル(比較明合成)にすると星の光が線となって蓄積されるので、驚くほどはっきり映し出せるんですね!

そうなんです。光害がある都市部や郊外でもクオリティの高い作品が作れるのがスタートレイル写真の醍醐味ですね。
今回は地上風景と合わせましたが、次は光害の少ない暗いロケーション(Class 1〜3)へ遠征して、静かな湖面に鏡のように写り込む「リフレクション・スタートレイル」にも挑戦してみてください!

湖面反射ですか……!想像しただけでワクワクしますね。
星景写真撮影は寒さ対策と観測地点の気象の確認など事前準備が大変ですが、だからこそ、自然を相手に実際に自分の手で地球の自転を写真に収められた時の快感にはまりそうです!
……そういえばチノーくん、10月下旬ってちょうど『オリオン座流星群』が極大を迎える時期ですよね?
スタートレイルも楽しかったですが、この勢いで流星群の撮影にもチャレンジしてみたいです!

お、いいですね!2026年のオリオン座流星群は10月21日夜〜22日明け方にかけてがちょうど極大(ピーク)です。
深夜過ぎに月が沈んだ後は空も暗くなって絶好の観測チャンスになりますよ。

よし!さっそく徒歩で、人間の活動がない光害ゼロの深い山に登って撮影してきます!

うーん……いきなりそれは無謀すぎるので辞めたほうがいいですね(笑)。
前崎さんは自動車を所有していないんですから、まずは公共交通機関で行ける範囲や、安全な近場のスポットで練習するのをおすすめしますよ。
皆さんもぜひ、GIMPと無料プラグインを使ってスタートレイル画像作りに挑戦してみてくださいね!

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